香川県内科医会誌 第61巻 2025年(令和7年)を発行しました。


香川県内科医会誌 第61巻の刊行に寄せて

いつの間にか巻頭言でCOVIDを話題にするのが慣例になってしまいましたが、今年度は感染力の強い変異株が現れたところに、ダニが媒介する“SFTS”が増加傾向にあるために、発熱外来には緊張感が走っています。特に、ペットを介して広がる“SFTS”は要注意で、発熱患者に接する際は動物との接触に関して慎重な問診や皮膚の診察が必要そうです。特に中山間部に起居する有熱患者を診るときには手袋はもちろんのこと、フェイスシールドやガウンの着用が必要と感じます。

さて、第61巻の会誌が完成しましたのでお手元にお届けします。今回も総論、ガイドラインに続いて症例報告が1題と少なめですが、興味のある内容になっているので会員には是非とも熟読ください。
なお、各病院で研修医の指導に当たられている先生には、是非、内科学会地方会や県医師会で発表された症例や臨床研究を当誌にも投稿すべく促進ください。若手医師には査読医師とのやり取りを通じて自己研鑽に役立てていただきつつ、指導医の業績にもなることを確信します。ちなみに、研修医(卒後研修医、専攻医)の投稿料は無料であり、共著者も当会会員であれば無料(非会員であれば2千円)ですので、是非、投稿論文数を増やしてください。

話は変わりますが、現在の「内科医会」における「総会」の必要性について会員から意見を集めたところ、ほぼ100%の会員が「不要」との判断をされました。この判断を受けて、今年度からは総務的な課題や編集会議は役員会が行い、会員向けの研修機会としては「今さら聞けない“◯◯”シリーズ」と称して、ベテラン開業医や勤務医、さらに研修医を対象とした勉強会を開催する予定です。なお、この会には香川県内の内科的診療において“リーダーシップ”を取っておられる先生方に“手弁当”で参加いただき、聴衆との質疑応答を交わしていただくことを考えています。

当会会員各位には、論文投稿は無論のこと、各部会主催の講演会や上記研修会にも積極的に参加頂き、若手医師とベテラン医師との交流の場を彩って頂きますようお願いします。
草々

令和7年11月 香川県内科医会長 德田 道昭

香川県内科医会誌 第61巻 2025年(令和7年)

目 次

〔巻頭言〕
~第60巻の刊行を祝して~
德田 道昭1
〔ガイドライン〕
末梢動脈疾患ガイドライン(2022年改訂版)
多田 典弘・他3
〔ガイドライン〕
C型肝炎治療ガイドライン(第8.3版)の要点と変更点について
守屋 昭男13
〔総説〕
「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」から考える最新の糖尿病治療
黒岡 直子・他17
〔臨床研究〕
腎動脈狭窄症の出現頻度と経皮的腎動脈形成術の長期予後に関する検討
松村憲太郎26
〔症例報告〕
舌咽・迷走神経麻痺による嚥下障害を主症状とした神経サルコイドーシスの1例
濱田 康宏・他38
〔症例報告〕
酸素吸入用メガネを用いて在宅酸素療法を導入した一例
永野 宏奈・他44
〔部会報告〕
内科部会報告(2023年)
中津 守人49
〔部会報告〕
消化器部会報告(2023年)
井上 秀幸51
〔部会報告〕
循環器部会報告(2023年)
土井 正行55
〔部会報告〕
肝臓部会報告(2023年)
高口 浩一60
〔部会報告〕
糖尿病部会報告(2023年)
中村 圭吾64
〔部会報告〕
血液部会報告(2023年)
大西 宏明68
〔部会報告〕
呼吸器部会報告(2023年)
宮脇 裕史72